うつ病に優しくすること

 うつ病に優しくすることは、一般の方の知識として言葉では普及しているようですが、優しさの程度やどう接するかなど、言葉の意味をかみ砕いていくと実際どう行動するかで迷うことが多いです。周囲の方の対応を含め言葉の意味を考えてみます。

やさしさ≠甘えさせる

 うつ病に優しく接する、は言葉の通り優しい気持ちで接します。どこか面倒くさいと感じたまま対応すると、変に気を回させてしまうことがあります。この場合、優しさを見せることで相手から距離を近づけてもらうためにという意味もあります。

 問題になるのは、優しさを相手の要望を全て受け入れるというように解釈される方がたまにいらっしゃいます。全てを受け入れようと甘えの要望もすべて受け入れることになり、相手は退行し一向に調子が戻ってこない、自分は無理な要望に応えるため疲弊する。この結果、共倒れになるという結果に至ります。うつ病の喧伝の前後、「うつはうつる」という言葉がありますが、無理な対応の結果の共倒れという部分もあります。

うつの回復は自身の見方や気づきから

 うつ病の回復には自身の見方が変わることや気づきが生じて、問題の解決の糸口が生じることで気分の浮上につながります。変化が生じるためには疲弊していると出口が見つからないので睡眠をきちんととる。体が気持ちについてくることで自身の心身の乖離によるもどかしさがなくなり、不安要素が減ります。

 抗うつ薬で気分を持ち上げるのは特に中等症から重症の時には必要と思われますが、持ち上がった後に問題や出口が解決していないと、解決しないもどかしさから再度不調に陥ります。そのため、薬を開始し回復を待ちながら、周囲からの情報を整理して解決できる問題を探っていきます。

役割は戻すことが前提

 本人の回復のために、不調前の役割は原則戻すことが望ましいです。途中でやりきれなかったことで後悔や自身喪失につながることがあります。当然、業務が過負荷であったりする場合は、業務を整理した上で復帰にします。上司との関係が悪く、引き離す必要があれば総括ラインの方と相談して引き離すことも考えます。ただ引き離しは、本人の過度な要望になる場合もあり、できる範囲での検討を行います。

 優しくすることで過度の負荷軽減を行い、業務を全く与えないという上司の方も結構います。他の方と同様の業務量に戻していくよう、復帰後負荷を軽減している時点で本人に伝えていきます。

やさしさ≠特別扱い

 業務を与えられない、巻き込まれて疲弊してしまうから業務は適当に与えて何もなかったようにしよう、とする上司の方もいます。何もできないと考え何もしなくなってしまう。周囲への変な甘えが生じると、仕事での特別扱いが当然のようになってしまいます。

 5分の遅刻なら多めに見るか、とう上司もおりますが、他の社員さんは定刻通り勤務しています。特別扱いをしないことは本人を一人の社員として扱うというメッセージとして伝わります。

長続きするやさしさを

 最初は「私が何とかしなきゃ」と張り切るものの、時間が経過するいにつれ疲弊が増し、上司も抑うつ状態を呈することがあります。「俺できていなくて」という言葉を繰り返す部下に対して「できているじゃん」とサラっと言葉で反論をするなど、あっさりとしてでも普段と同じ対応をするのが望ましいです。大々的にやる必要はないものの、「1年後もできるやさしさ支援はないか?」といったことを今の時期の内にやっておく方がよいかもしれません。

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