炎症反応が上がらない発熱

 熱があると、診察ではまず問診を行い、熱以外の症状を確認します。行動範囲や家族の状況を加味し、現在は必要な場合にCOVID19のPCR検査、以外には必要に応じて採血などの検査を行います。

 発熱を伴うときの血液検査で炎症反応を調べることが多いですが、陰性の場合の解釈はどうすればよいでしょうか。

CRPについて

 C reactive proteinを略してCRPと呼びます。

 体内に炎症が起きたり、組織の一部が壊れたりした場合、血液中に出現しますが、血液中のIL-6の刺激を受けて肝臓で産生されます。

CRP陰性で考えられる疾患

頭蓋内病変

 熱があるときにCRP陰性になるのは、頭蓋内の病変があるときに生じます。血液脳関門という脳には関所があるために、循環が頭蓋内にとどまってしまい、肝臓でCRPが産生されない状態になり、発熱がありながらCRPが陰性になります。

 頭蓋内病変を疑えば、腰椎穿刺で髄膜炎などの有無を調べます。

全身性エリテマトーデス

 原則炎症反応が上がらず、漿膜炎(心膜炎、胸膜炎、腸炎、腹膜炎)や感染症を伴うときに上昇します。

 CRPが0でも重篤なループス病態となるため、重症評価にはあまり適さないようです。

習慣性高体温症

 一見元気そうで、検査からは特に異常が指摘されず高体温が続くものを指します。生理的な反応であり特に問題ないものです。

 新型コロナウイルスの影響で37.5℃以上は出勤を禁ずる対処をしている企業が多いですが、この状態の人がずっと出勤できないことも考えられます。

 無理して解熱剤で熱を下げようとしても、発熱がサイトカインを介していないために解熱剤の効果はありません。


 新型コロナウイルス感染症では、CRPは重症化指標の一つとして有用な可能性があるようです。

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