アルコール使用障害と暴力との関連は多く、アルコールによる脱抑制の影響が大きいと思われます。アルコール使用者への対応を踏まえて、ハラスメントに対する対応を考えてみます。
ハラスメントとは
厚生労働省が出した定義は、以下のようになります。
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるものであり、
①~③までの要素を全て満たすもの
優越的な関係を背景にしており、職場で長くいる人、上司などが不必要な範囲におよんで労働者の就業に影響を及ぼすものなので、幅広い概念のようです。
アルコール使用者とハラスメントの共通点
アルコール使用障害では上下関係がきっちりしている生活を送ってきた人が多く、依存症全般に共通しています。親和性が高い仕事がホストなどで、以前外来に彼女と一緒に来られた方は服装も整い礼儀正しく「できる」印象を受けましたが、ホストは上下関係がきちんとしているようです。
一方で店長からの暴力を受けた、という事件を聞くこともあり、下に対してはとことん厳しいこともあり、特にパワーハラスメントの温床になります。
暴力・上下関係という意味では共通部分があるため、職場のハラスメントに対してアルコール使用者への対応を使うとそれなりに効果が見られそうです。
具体的な対応
怒らない、感情的にならない
相手の土俵に乗らず、自分の土俵=ペースを崩さないようにします。相手は意図しなくても反論で優位に立ったと思うこともあります。
感情的になる時点で相手の土俵で戦っていることになります。無駄な戦いや消耗は避ける意味でも感情的にならないようにします。
話のペースをゆっくりにすることも工夫の一つです。話が早くなると脈拍も上がり、知らぬ間にヒートアップすることもあります。
無視、そっけなくする
相手の土俵に乗らないためには、相手に合わせないことが大事です。相手は突っかかってくる自分を見ることや、自分を圧倒することで満足を得るようであれば、そっけなくすることで相手のペースを崩していきます。
セクハラの場合は法的対応を組み合わせる
セクシャルハラスメントの場合、無視だけでは相手が怯まないことが多いです。あれこれ言うと相手に伝わらないことが多いので
「社員サービスに相談します」「警察に言いますから」
と語気を荒げず伝えます。感情的に伝えるより静かに淡々というほうがメッセージ性は高いです。
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