
金融系企業の事例で、セクハラで労災に認定された例です。
企業によってはされた側でなく、した側を守ろうとすることは時折聞かれますが、「なぜ私が被害を受けて移動しなくちゃいけないの?」という不満が変化していくかもしれません。
新聞記事には入社年月等が入っていますので、そこは省略します。
報道の要約
ざっと以下のようになります。
- 20代女性が50代男性上司からのアプローチ
- 食事に誘われる
- 恋愛感情をつづったメールが来る
- 自宅最寄り駅までついてくる
- 誕生日プレゼントを渡す
- 女性は会社に相談したが、男性上司でなく女性を異動させようとした
- 女性は退職
年齢が離れた男性にアプローチされるだけでも困るでしょうが、職場では上司・部下という権力をかざした対応なので問題がありそうです。
「身体接触がないセクハラでの労災は珍しい」のか
ちなみに、労災認定を受けるには何かしらの精神障害に陥ったとして、心理的負荷が「強」であれば労災認定されます。
認定には以下の基準を満たしていることと記載されています。
- 認定基準の対象となる精神障害を発病している。
- 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
- 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと
1.はICD‐10コードのF0-9のいずれかが該当になり、精神疾患での保険請求ではFコードのいずれかを記載しています。通院すればおそらくいずれかの病名が記載されます。
2.は心理的負荷が「強」であることが条件になります。
身体的接触がないため、特別な出来事には該当しないかもしれません。具体的出来事の37にセクシャルハラスメントの項があり、基本は「中」で、「強」になるのは”身体接触のない性的な発言のみのセクシュアルハラスメントであって、性的な発言が継続してなされ、かつ会社がセクシュアルハラスメントがあると把握していても適切な対応がなく、改善がなされなかった場合”が今回の件では該当しそうです。会社として上司でなく本人を動かしたことも心理的負荷として取ったようです。
このニュースから考えることは
ハラスメントの問題を社員相談係が対応すると、断罪して処分する、お互いその部署から離れる、被害者を説得して異動させる、静観といった対応をしているように見えます。これからは静観・何もしない・被害者を動かすのは選択肢としてはありえなくなってきます。被害者を保護するという前提を会社側は改めて肝に銘じることがよさそうです。
参考URL:精神障害の労災認定
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