繰り返す「うつ病」を診立て直す

 うつ病100万人時代を学会や講演会で聴いたのが10年ちょっと前。SSRIの台頭が1998年なので、そこから22年が経過しており、長い人だと20年以上うつ病として通院を続けていると思われます。慢性経過をたどる方は日常生活はあまり問題なく適応できるものの、社会生活、特に企業で働くとなると難しい人も少なくありません。

 クリニックや病院はどこも20年戦士など、長い期間に渡り患者を抱えており診立て直しをする時間がとれないと思います。さらにコロナの関係で15分以上の診察は避けたいところです。

 会社での診立て直しも本人やクリニックにとっての仕切り直しの機会としては良いかもしれません。

うつが慢性化する原因は何か

①加齢変化

 20年前に若者のうつ病として20代から治療開始しているのであれば、現在は40代に突入しています。若いころに比べて体力も落ちています。体脂肪も落ちにくくなり、薬物療法下でだるさが残るようであれば更に太りやすくなります。

 20年前に30‐40代で治療開始している人は、今50-60代に差し掛かっています。腎機能もこの年代になると落ちてきます。薬の量をずっと同じ量で飲んでいると、体調が変化していきます。

②十分な睡眠、生活リズム

 睡眠は十分にとれているでしょうか。リズムを作るのが難しい仕事であれば、体内リズムをどう作るか。昼寝を入れる工夫なども検討が必要かもしれません。

③アルコール

 アルコールの問題はどうでしょうか。20年前からだと、アルコールはさておき薬物療法を開始していることがあります。2000年前半頃はSSRI+ベンゾジアゼピン系で処方を開始している記録をよくお見受けします。社会適応が良かったり、家族が問題視していなければ問題が後回しになることも少なくありません。会社の復帰時にアルコールの問題があればそれを理由に復帰保留することもあります。

④身体疾患の評価

 身体の再評価も必要です。甲状腺機能低下が起きていたり、薬物療法や不活発の影響により高血圧や糖尿病が出現していることがあります。やせが続くと貧血も起きることがあります。なかなか侮れません。

⑤慢性経過による能力低下

 加齢変化以上に機能が落ちている場合は能力低下も懸念されます。周囲からの情報を含め、回復可能性があるのか、なければ何ができるかを評価していくことになります。


 ほかにも可能性はあるものの、可能性の高いものから挙げさせてもらいました。産業医にもこのあたりの予測や診立てが求められることが増えてきそうです。

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