「在宅勤務希望」に医師はどう返すか

 会社では一斉自粛から部分在宅や完全在宅、もしくは感染に注意しながらの勤務を被雇用者として要求されます。

 「在宅でやれるのをなぜ出勤してやらないといけないのか」という質問が次々とくると、出勤しなさい、と産業保健側で言い続けてきました。でも周りの人も働いているのだから頑張らねば。

 問題になるのは、「在宅勤務をしたいので診断書を書いてほしい」と言われた場合です。安易に書くことで本人が通常通り働けない、と逆にとらえられて却って休業に追い込まれるという事態もあり得なくはないです。まさに地獄への道は善意で敷き詰められている、といった言葉の通りです。

妊婦の場合はひな形通りの記載

 妊婦の場合は感染リスクを考慮し、厚生労働省が書き方例まで作成してくれています。「新型コロナウイルス感染症の感染のおそれの低い作業への転換又は出勤の制限(在宅勤務・休業)の措置を講じること。」あとは会社の条件により在宅勤務か休業を選んでいただければ問題はありません。

重症化リスクのある疾患について

 易感染性のある抗がん剤やステロイドの使用はその他の免疫抑制と考え、要注意な基礎疾患とも考えることができます。治療後については感染リスクが高いとは言い切れず、主治医からの詳細な情報を問われる場合があります。白血球数等、数値での基準があればそれを根拠として求められ、注意喚起というのであれば「病気としてはそのような配慮を行うまでは言い切れず、労務問題として相談を」ときっぱり断る方が良いこともあります。医療はサイエンスなので科学的な根拠をどこまでも追求されると思ってこのような診断書は作成するのが望ましいです。

詳細を産業医や職場に問い合わせるのも一手

 このような診断書を依頼された場合、仕事場の背景を産業医や職場に問い合わせるのが良いかもしれません。本人がどうしても、と駄々をこねる場合もあり、手紙や診断書だけで一方的な通知を行うと職場との対立を招きます。書いた場合にどのような配慮が実際に行われるのか、主治医が思いもよらない展開になったという事態を避けるためにも必要です。


 現在の医療現場は開業医から大病院まで疲弊しており、診断書についてもかなりの労力を割かれるため、無理な診断書に問い合わせを更に行う、という作業は極力避けたい思いがあります。本人の言うがままだと本人の願望や理想が含まれていることもあり、本人の話をベースに書類を作成すると現実的な妥協点が探れないまま、復帰企画がちぐはぐとしてきます。

 職場で考えてください、で構わないのであまり本人の医療評価に下駄を履かせることまでしなくてもいいのでは、と寒い中で私は考えています。

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