ご近所トラブルと精神科

 保健所の精神保健相談をしていると、ご近所トラブルの延長に精神科が絡んでいると思われるケースも見られます。

 相談内容からして「相手を何とかしてほしい」と言うことが多いものの、実害がないと本人の行動を制限してまで治療を行う根拠に乏しいため、医療としては動けないのが実情です。

疾患別の相談内容

① アルコール

 1日中大声で叫ぶ、ゴミ捨て場でいちゃもんを付けられ脅される、といった、住民としては怖いということで相談にきます。実害が出ているため、警察への相談を行うことが多いようです。脅迫している様なら逮捕ということも考えられます。社会的な対処が先になり、医療としては遠巻きに状況をみて後からアルコールが隠れている、と判断することが多いです。

② 認知症

 認知症はアルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症の4つがありますが、ご近所トラブルに発展するのは前頭葉機能低下を伴う脳血管性認知症、前頭側頭型認知症が近所からの相談にきます。性格変化や頑固さがあるものの、器質的疾患によるために医療が全面的に出てきます。近時記憶低下があまり目立たないケースでは警察が絡みますが、半側の麻痺がみられた時点で医療が矢面に立たされやすいです。

 不潔行為が目立つと賃貸住宅を追い出されるようで、身寄りがない場合はケアハウス等に入ることがありますが、抑制が効かず支援者とトラブルになることが少なくありません。

③ 内因性(双極性障害、統合失調症)

 これらの問題を相談に来ることがあります。明らかに調子のいいときとトラブルが続くというのを繰り返すと双極性障害が、窓を少しだけ空けずっと近隣を見張っている、隙間に目張りをするといった、周囲からみると変わった儀式をするのであれば統合失調症が疑われます。この場合は治療可能性があるため警察への相談だけで終わらない方がよさそうです。

「引っ越しおばさん」は上記に該当するか

 ご近所トラブルの引用で「引っ越しおばさん」を例に出す相談者もこれまでにはいました。引っ越しおばさんは文句だけ言い軽快なリズムで布団を叩いていましたが、近所の方の実害がよくわからないという印象を受けます。テレビに送ったからおばさんが叩かれましたが、警察に相談して和解や仲裁に入ってもらう方が良かったのでは…というのが個人的な感想です。

 何か言われてムカついたから映像に出てくるリズムで歌ったのでしょうか。あれだけで病的と判断するには材料不足です。病的と判断するならテレビ側で放映を控えてほしいものです。

トラブル回避のためにはどうするか

 病的な場合、距離感が近いほど親近感と裏腹に猜疑心も生じてきます。あまり近くなりすぎて関係づけられてしまうようであれば、挨拶と必要な対応以外はなるべく距離を取るようにします。調子の善し悪しに関係なく対応を一貫させると、相手の方が対応を変化させることもあります。

 アルコールが絡んでいれば相手にしないのが原則で、ゴミ出しなどいう場合は素面の時間を狙って感情的にならずにやってほしいことを伝えます。

 認知症の場合は医療でも限界があるため、支援者や自治会を交えて対応を考えることになりそうです。不潔行為であればヘルパーさんが入る時間を変える、定期的に浣腸を使い排便を促し不潔行為を少なくする、といったことなどが対策として挙げられます。

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