認知行動療法総論

 職場復帰でリワークを勧める場合、多くのプログラムで認知行動療法を取り入れています。授業形式から振り返りを十分に行うケースもあります。

 副作用もあり、間違った認識の強化になると、環境への不適応がより顕著になるケースがあります。薬でいう副作用といったところです。リワークを勧める中で、なぜ行う必要があるのか、何を得てもらいたいのか、それを踏まえて認知行動療法を考えていきます。

認知行動療法とは

 アーロン・ベック氏が構築した心理療法は、構造化された、短期の、現在志向的な心理療法であり、非機能・有用でない思考や行動を修正し、今抱えている問題を修正しようとするものです。

 うつ病のときに「べき思考」が問題になり、外来のテーマで取り上げられると思いますが、「べき思考」がなぜ問題になるのでしょうか。べきになればそのあとの行動や思考の選択肢はあまり多くなく、それで行き詰った際に機能的でない、不適応な行動を引き起こすことがあります。自己評価が低いと「俺はダメな人間だ」から抜け出せなくなり、自殺未遂など不適応な行動を引き起こすことがあります。思考の視野狭窄といった状態で、他の選択肢が見出せなくなった状態がうつ病ということになります。うつ病で思考の狭さがあれば、極度のうつで動けなくなる・不安で身体が動けない状態から抗うつ薬で体は動くようになっても自殺という選択肢以外が見出せないままだと、再度同じ思考の結論に達してしまえば体が動く分自殺のリスクは高まってしまいます。

 そのため、薬物療法だけでなく、心理療法の介入が不可欠となります。

適応疾患

 効果が高いと思われる疾患や状態像は多岐にわたります。

精神医学の問題
  • 全般性不安障害
  • うつ病
  • 物質使用障害
  • 摂食障害
  • パーソナリティ障害
  • 身体表現性障害 など

 以下の病態では、薬物療法と併用したうえで効果が期待されます。

  • 双極性障害
  • 統合失調症
身体疾患
  • 耳鳴り
  • 癌性疼痛
  • 病的肥満
  • 過敏性腸症候群
  • 勃起不全 など
心理学的な問題
  • カップルの問題
  • 家族の問題
  • 介護者のストレス
  • 怒りと敵意の問題  など

どんな方に適しているのか

 外来での認知行動療法には、以下のような方が適しています。

  • 自動思考を同定できる
  • 異なる感情を認識し、識別できる
  • 変化に対する責任を受け入れる
  • 認知行動療法の原則をよく理解し共感している
  • 医療従事者との良好な協力関係
  • 最近起きた問題で持続期間が比較的短い
  • 十分に集中して一つずつの問題に取り組むことができる
  • 患者の問題がそこまで重大でない
  • 治療に対してある程度楽観的である

 逆に、以下のような方は避ける必要があります。

  • 重大かつ深刻な精神疾患の患者
  • 強い感情や怒りを抱いている
  • 認知行動療法アプローチを希望しない場合

 認知行動療法を普段の外来で行うには、本人に宿題を課し、診察がない間に自分なりにワークやタスクを進めていく必要があります。宿題が嫌だ、という場合も不適ということになります。ある程度責任を引き受けてくれないと難しいため、他責的なケースでは治療導入時に治療契約や約束をきちんと取り決めておく必要があります。

 治療については主治医と相談の上になりますが、先生によっては外来の診察内容自体が認知行動療法的なアプローチを行っていることもあります。外来通院時には話をきちんとしておくのがよいでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました