早期発見・早期治療が正しいとは限らない

 - 早く医療に乗せた方が問題が解決するのでは?

 内科疾患は早期発見と早期治療により寿命を延ばすという目的が達成されます。

 精神疾患ではどうでしょうか。精神科は現代では精神病圏の治療だけでなく、心が健康を保つために、という目的で「今の私の進む方向は間違ってないか」を確認するために受診する方もいます。

早期治療に乗せるケース

 早期治療の目的は予後が明確に改善することです。統合失調症が疑われる例は薬物療法や介入を早期に行うことで、入院や社会能力の低下をできるだけ減らすことができます。

 アルコールの問題は初回面談が大事になるため、どこに受診させるかなどを決めた上で早期に治療に乗せます。

 また、支援者が少ないケースも治療という面以外に孤立を防ぐという点では有効です。

治療を急がないほうが良いケース

 逆に治療を急がないほうが良いケースは何が挙げられるでしょうか。

 治療を行うことでのデメリットを挙げてみます。

  • 薬物療法の副作用
  • 治療開始による行動範囲の変化や制限
  • 「治療」が優先されるため「克服する課題」への取り組みが遅れる

 1つ目の薬物療法の副作用は、薬によるパーキンソニズム、日中の眠気、イライラ・興奮性などがあります。外来で週1回チェック入れるなどすればよいですが、社会生活しながらだとなかなか通えないケースもあります。

 2つ目の行動範囲の制限について、通院する分だけ会社を早退する、帰りに趣味で行っていたスクーリングができなくなる等、行動の変化が生じます。それにより自信の楽しみが減り、意欲が減退することも容易に想像できます。病的なうつ状態の際は物の見方もネガティブになるため、抗うつ薬により意欲興味の減退は減ると思われますが、楽しみのなさからくる抑うつ感は薬では解決できない問題です。何で抑うつ状態に至っているのか、それが病的なものか現実的で理解できるのか、その診立てによってはすぐ治療に乗せないほうが良い場合も少なくありません。

 3つ目は2つ目との関連があります。抑うつ状態に至った理由があり、その理由を克服する、何かしらの理由で克服する必要があるのであれば、現時点もしくはエネルギーが回復した時点で克服に向かいます。理由の立て方が周囲も把握しづらい、非現実的なものであれば現実的な対策立てを行います。理由が「?」の場合は病態の見直しが必要になります。

 時間は待ってくれないので、その場もしくは期限までに問題を克服する必要があれば、それに取り組むか治療を行うか、どちらが早く本人にメリットがあるかを考えて対処に臨みます。

 

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