近所トラブルと精神疾患

 ご近所トラブルには多くのケースがあります。

 団地の張り紙で見ても「大音量でのゲーム禁止」「エレベーターをきれいに使うこと」「曜日以外の燃えるゴミ出しはダメ」など、何が起きているかがわかります。

 本人が気にしない場合はこのような張り紙になりますが、個人が特定されると張り紙のフェーズが終わり、その人に対する対応やシフトが敷かれることがあります。具体的な例は難しいですが、相談にあるモデルケースでは以下のようなものがあります。

・個人攻撃で嫌がらせのビラや「不幸の手紙」にしてポストに入れる

・糞便を投げつける

・本人の思い通りにいかないと刃物を持ち出したり怒鳴ってしまい、支援者が対応しにくい

 それぞれの例で病態と対策はどのようなものが考えられるでしょうか。

①個人攻撃

 個人に対する攻撃は統合失調症の被害関係念慮に基づく動きが考えられます。病的なものとは限らず、特に問題でない人でも実際にいやなことをされたエピソードに基づいて動くこともあります。

 病気の際は治療が優先されますが、被害関係念慮は症状が改善しても根に持つことがあります。治療の際に強制入院させられたと家族に矛先が向くと、家族関係が崩れてしまいます。距離を取ることや、必要に応じて警察や管理人など第三者に入ってもらいます。

②排泄物の投棄

 臭いや衛生上の問題もあり、トラブルを早めに終始させたいものです。自分の経験から、身体症状の悪化に基づくせん妄、認知症の周辺症状として排泄物の処理に困り投げてしまう、昏迷状態など意識レベルがもうろうとした急性精神病状態で起きることがあります。

 既往歴から心不全や便秘などせん妄を引き起こす病態を推定することが一つで、採血検査やバイタルサインの変化から病態を考えていきます。

 認知症であれば排便コントロールを行い、定期的な排泄ができるようであれば問題行動が減ることがあります。

 急性精神病状態では早急に鎮静に至らす必要があり、ジアゼパムなどの注射や電気けいれん療法などで興奮状態を脱することをまず目指します。

③脅し

 刃物を持ち出す、怒鳴るなどは相手を服従させる行為です。ほぼ相手をコントロールするための行為で、離れれば行動を手放します。

 アルコールなどの依存症の動きに多く、既往歴で脳血管障害やてんかんがあれば、損傷・発生部位によってこのような行動を起こすことがります。自分が離れても相手は納得せず行為を続けます。

 問題行動すなわち精神疾患とイコールになるわけではなく、身体疾患の可能性がかなり想定されるため、身体疾患除外しながら精神疾患の可能性があるのか、理解できる行為の延長上にあるのか考えていきます。

 近所トラブルで精神保健相談に行っても、納得が得られないのは客観的情報が少ないので提案の幅が非常に狭いことも理由として挙げられます。限界を理解していただくのはなかなか難しいものです。

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