長時間労働をしない工夫

 元朝日新聞の記者の方が、朝日新聞社に労働基準監督署が入ったとのことでブログを書かれていました。事故が起きた後調査が必要な場合は会社の業務内容や思想に関係なく入ると思われます。産業医として私が勤務している企業での長時間労働はほとんどなくなりましたが、元同僚などの話を聞くと長時間労働の削減に届かない企業も多いようです。

 なぜこの企業に入るかを考えると、たいてい事故や社員からの相談で入ることが多いです。つるし上げるということではなく、人として安全に働ける環境の提供を促すためのものなので、思想ではなく適切な現場介入です。コメントで「ネトウヨ」の言葉が入ってきているのもありますが、思想の問題にすり替えるのは議論から逃げているだけに私としては感じます。

休日はパソコンを立ち上げるな!時間外労働は上司の命令で行え!〜WEB勤務表に管理され自主性を奪われる新聞記者たち

 元記者の話から快適な職場環境に至るヒントも少なくありません。一つずつ検証してみます。

もちろん、みなし労働時間制だからといって、無制限に働いてもよいわけではない。会社は労働時間を適正に管理しなければならない。

https://samejimahiroshi.com/masukomi-webkinmu-20211227/

 管理職はみなし労働時間制となり給料も残業を考慮して支払われます。逆に任務を遂行しているのであれば残業をあえてする必要もないです。労働時間の管理は管理職でもパソコンやタイムカードを推しています。適正管理の必要性はまさにその通りです。

とはいえ、取材記者の仕事に「開始時間」と「終了時間」などあってないようなもの。

https://samejimahiroshi.com/masukomi-webkinmu-20211227/

 取材記者はただのブラック企業です、と言わんばかりの発言です。新卒を拾わない企業であればまだしも、これを聞くと親としては子供を朝日新聞社で働かせたくない、と感じてしまいます。

仕事の「開始時間」と「終了時間」などこまめに記録などできるはずはなく、各記者が入力する時間はほぼ実態を反映していない。

https://samejimahiroshi.com/masukomi-webkinmu-20211227/

 パソコンを開く、閉じる、長時間作動させないことで開始終了の客観的ログを取ることは可能です。

ほとんどはパソコンではなく、取材相手と向き合っているからだ。

https://samejimahiroshi.com/masukomi-webkinmu-20211227/

 ボイスレコーダーを社用携帯のアプリで使用するなどすれば、客観的な時間を見ることはできそうです。

働いた時間が多すぎると「働きすぎです」と管理部門から指摘されて面倒だ。だからデフォルトのまま「午前10時から午後6時」に働いたと申告する記者も少なくない。

https://samejimahiroshi.com/masukomi-webkinmu-20211227/

 筆者の言う通りで、虚偽の申告がまかり通ってしまっている、管理部門の問題です。適切な対応を行う企業では管理部門が指摘・𠮟責して虚偽の報告が出ないよう、話を受け止め原因を検討、対策を練ります。管理部門が本人に指摘して終わり、という企業体質が問題なのでしょう。本来は管理職に指摘するのが筋です。うそが重なると大きなうそで覆い隠そうとする企業体質になってしまっています。

だが、時折まじめに申告する記者もいる。近年、この割合は増えているようだ。この場合、間違いなく「働きすぎ」になる。まずは部長が管理部門から注意される。部長は「働きすぎないようにしてね」と記者に声をかける。それでも取材業務は次から次へとわいてくる。まじめに申告する。部長は再び管理部署から注意されるーーこの繰り返しの末、部長が勝手に勤務時間を書き換え、懲戒処分されるという事案も起きた。部長にとって「記者の労働時間管理」は何よりも神経を使う業務になってしまったのだ。

https://samejimahiroshi.com/masukomi-webkinmu-20211227/

 最近は労働時間の申告を適切に行うように厚生労働省など呼びかけがあるうえ、新入社員研修でも労働時間については厳しく言われています。働きすぎは過労死に直結するため、まじめに申告するのは当たり前です。

 部長が働きすぎを注意するのではなく、労働時間を抜本的に替える、複数担当制などで労働時間を短縮する、そもそも張り付く必要のない時間も多いので長時間をさせない工夫を考えないといけません。人を増やすには人件費がかかるものの、これまでが安い人件費でごまかしていた、というのが正しい気がします。

 人を管理できないのであれば、業務委託契約にして労働管理の手間を省くのも検討が必要なのでしょう。報酬ががくっと減らなければよいのですが…

「記者のサラリーマン化」はどんどん加速している。

https://samejimahiroshi.com/masukomi-webkinmu-20211227/

 もともと社員契約なのだから記者もサラリーマンです。加速はしていない、本来の正しい姿です。

記者の健康を守るのなら、上意下達の取材体制を改善し、記者の自主性を尊重した新しい仕組みをつくる方が急務である。管理部門のアリバイ作りに取材現場を巻き込まないでほしいという趣旨のことを主張した覚えがある

https://samejimahiroshi.com/masukomi-webkinmu-20211227/

 記者の自主性を尊重する仕組みを作るのは好きにしてよいのですが、事故が起きて労災の判断には長時間労働記録が必要です。記録を残していないと会社はおそらく裁判で負けます。アリバイと言われようと、客観記録を残さなければなりません。

しかし、記者が労働時間の自己申告をはじめると、労働時間が多いほど人事評価があがるという、実におかしな風潮が社内に広がり、休日も深夜も働いて、労働時間で同僚より勝ろうとする、実に内向きな社内文化ができてしまうのではないでしょうか。逆効果ですよ、これは。

https://samejimahiroshi.com/masukomi-webkinmu-20211227/

 これはおかしな論調であり、時間外労働=人事評価とは限りません。企業によっては逆に残業しない人を昇進させるところも出てきており、人事評価の仕方を社内で替えればいいだけのことで逆効果にはまずなりません。おかしな風潮は新聞記事だけにしてもらいたいものです。

休日におけるPC立ち上げを一律に禁止するような措置はとりませんが、休日には業務を行わないことが原則ですので、必要のない場合はできる限りPCを立ち上げないようにお願いいたします。

https://samejimahiroshi.com/masukomi-webkinmu-20211227/

 休日におけるPC立ち上げは一切禁止する。必要な場合は上長の許可をもらいPCを立ち上げる、くらいのシンプルな一言のほうが会社の指針が明確になります。ぼやかして書いており会社のメッセージ性は弱いものになってしまっています。

時間外労働や休日労働は、本来、上司の指示・命令により行うもので、本人の判断で自由に勤務日や時間を決めてよいということではありません。

https://samejimahiroshi.com/masukomi-webkinmu-20211227/

 これはまだメッセージ性はあります。本来勝手に出勤・欠勤を決めてはいけません。嫌なら業務委託で記事毎の報酬制にしたほうが、就業規則に束縛されない記者、経費削減になる企業どちらにもメリットある気がします。

 本来は番記者もいらないです。必要あればyoutubeで政治家本人が直接喋ればよいのですから。政治家も寝る時間があるのだから、それに合わせて不要な時間を張り付きでなく帰宅させればよいのです。スクープを、と自分だけのことを考えるから明後日の方向に記事が飛んで行ってしまう。

 記者の嘆きは現在の50-60代管理職からよく聞かれた言葉です。自分たちだけ特別な仕事ではない、私も初期研修・後期研修で違う先生に言われました。できないのは分かっているが社員としてきちんと必要な管理を行う必要があります。

 筆者の朝日新聞に対する思いが伝わりますが、他社を批判する前に自分達の襟を正して「お、お前が言うな」とならないようにしてほしいものです。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました