どの企業にいても入社時に面接でどのように面接すればよいか、医療者の立場から相談に来るかたも少なくありません。
原則として、病気について聞くことはできません。
さらに、会社としては配慮を行う上で本人が申告しなくてもそれに応じた配慮を行うことは必要となるため、健康状態を聞かなくても配慮を行う必要があります。
ただし、これでは職場とのミスマッチが生じます。軽作業の場合は問題ないものの、感染対策を徹底することや腰痛の発生しやすい仕事など、入ってから業務転換が必要になることもあり、本人と会社ともに舵を切り直さなければならなくなります。
配置転換先がない場合に本人が居づらくなることもあります。その場合中途半端なポジションに置かれるよりは転職に動いたほうが心身ともに幸せになるケースもあります。職務給制度を取り入れている企業にいる場合は本人も転職に動きやすいでしょう。
ミスマッチを減らすためにどのように採用担当が動けばよいのか考えてみます。
疾病性は×、事例性で聞く
疾病自体を聞くことはご法度とされています。糖尿病がある、うつ病の既往などは聞いてはいけません。聞いた場合にトラブルになる場合があります。
一方で配慮を行うにあたって、想定される残業時間、業務内容、服装などを伝えます。ただし残業時間が45時間を超える想定は問題で、トラブルになったら確実に会社が不利になるでしょう。業務内容から想定される危険、例えば着替えができないので皮膚トラブルが出たときに掻くことができない、暑熱業務なので脱水が起きやすい、など持病によるリスクは予め伝えておく必要があります。
医療者と同席させるか?
どこかの職場で、保健師や産業医が採用面接に同席する、はOKでしょうか。
これも健康情報の把握になるため、危ない気がします。隠しカメラで面接を覗き込むのも会社の趣味が良いとは言えません。面接に産業保健スタッフが同席するのはNGでしょう。
健康情報の個人を特定できない形に加工して情報のやり取りをする、病気が面接に出てきた場合は一般論で配慮を後から答える、というのが現実的です。
面接の時間を固定する
話が盛り上がり時間がのびのびになった場合、私からみると心配です。
予め終了時間を予告し、その尺に収めることができるかをみるのも大事です。話を簡潔にまとめる力、伝える力をみるのと同時に、話が脱線しないかどうか、饒舌で話が回りくどい、などの場合は言動と行動力の乖離が心配になるときがあります。
上記のように、実際の仕事を伝えてどのような反応を示すかが判断基準になりそうです。
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