埼玉の立て篭もり事件で、まだまだこれからの先生が犠牲になりました。ご冥福をお祈りいたします。
私も非常勤で10年ほど在宅医療に携わっていますが、弔問についてはクリニックの方針=事務長や院長など上の意向によって決まるようです。
上層部が最期までと言う時や、関係が確立していた方は伺うという条件がつくケースもありました。体制によっては「そんな時間があるならもう一件行って」と言われた事もありました。すぐにその体制は崩壊してしまいましたが。
今回の事件を機に弔問はしない、というクリニックも増えてきそうです。
弔問の目的
訪問診療を行うにあたり、通院できない理由が何かしらあります。家に上がることでその方の生活背景が分かります。家族は自宅にいる場合や、状態が落ち着いていれば家族なしで診察に上がることもあり、診療ノートに気になることを記載します。治療期間が長ければ、それだけ患者さんとは濃密な関係になり、亡くなることで親しい人を失った気持ちにもなります。治療者自身の気持ちの整理の場にもなります。
一方で治療期間が短い場合はどうでしょうか。関係を構築するまでの時間が不十分であったり、在宅医療に移行することで、「先端医療から見放された」と患者さんやご家族が感じたまま治療の場を移されることがあります。不納得のまま亡くなった場合、後悔の念が怒りに代わる時もあります。怒りの電話が繰り返されるなどあればお話を伺ったり状態を再度説明することになりますが、それでも裁判に至るケースもあります。気持ちを聞くつもりで伺うのはよくあることです。
もう一つ気になるのが、加害者が治療の場に普段から同席していたのでしょうか。普段の様子を聞いている家族とは関係ができていても、患者さんへの対応に不満を感じている方が状態悪化時に出てくることもあります。普段は関係良好でも、予想されなかった登場人物がいらっしゃったのかもしれません。
事件を踏まえての対策
この事件でどのクリニックも弔問を避けるようになりますが、どのようなケースでは弔問できると判断されるでしょうか。
- 患者・家族との関係が良好
- 同席する家族が普段顔を合わせている人
- 死因が予測されていたものである
上記が満たせていれば、弔問は可能かもしれません。診療の仕方を私も見直してみます。
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