家族を巻き込む

 社会人であれば、自己責任だろといわれることもあり、本来は職場復帰や支援に対して家族は巻き込まないほうがよいかもしれないが、生計を共にすることや職場に来るのが本人の刺激になり、出社制限をかける場合に家族への連絡を行うことも少なくない。

 出勤日数が少ない嘱託産業医が家族にアプローチするのは状態が悪く「出勤しながら回復させる」見通しが厳しい場合や本人・家族・職場の思惑が一致しない場合の調整役など、役割は限られてくると思う。

 診断書を家族が代わりに持ってきた時に声を掛けて様子をうかがうことや、本人が拒絶する時には、介入の方法、タイミングを考える上で面談を行う。このときのアプローチは引きこもりの支援に近く、本人が望まない場合は、奥さんの声かけや関わりのアドバイスを送る。引きこもりと考えれば、記録媒体に残らないはがきで時候のあいさつ程度で終わりにする、といったやり方もある。

 産業医からは医療的見地からの”意見”、職場からは復帰の”条件”、本人や家族から”要望”を織り交ぜて妥協点を探る。本人の希望に任せていると「そんな条件で戻すのか」と職場の不満が出るため、”条件”を前提として方向を決めていく。逆に条件が他社や他部署と比べてあまりにも厳しい場合は、条件の見直しを意見に取り入れている。

 家族背景が見えるメリットは、本人の自動思考や病態が分かりやすくなることだ。母親が過介入、父親のアルコール問題など、次の本人の支援のヒントにつながる。

 空振りで終わることもあるが、できることはやるのが本人・家族・職場・産業保健それぞれの立場に納得感を持たせる上で大事だと私は考える。

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