医療者は暴力を振るわれることが多いです。言葉の暴力は数知れず、アルコールで衝動性が上がると手をあげられることに遭遇します。
暴力をすべて「病気だから」と判断してしまうのは、疾病を患っている本人にもよくありません。本人の暴力行為が正当化されてしまい、今後も暴力のリスクが生じるためです。暴力を振るわれたら警察を呼ぶことを医師や相談員から言われることがありますが、暴力は許されない行為であり、第三者が介入する必要がある、という認識をさせるために必要です。
今回は暴力が精神状態の悪化によるものか否かについて考えてみます。
被害者は誰か
被害者が誰かは大事です。子供から親、特に母親への暴力はよくお話を伺います。一番気持ちを受け入れてほしい人であり、反抗されにくいという判断もあるのでしょうか。この場合、強い父親が子供の問題にノータッチであることが少なくありません。父親から暴力についての否定や、今後暴力が発生したら別世帯で生活する、と言ったことを話していくことになるでしょう。
やってしまったことの理由を後ほど聞き、フォローやできることを考えていくことも再発予防に大事になります。当事者同士だと感情的になることもあるので、医療機関など第三者にお願いすることになります。
相手を選んでいる場合
私は40代を過ぎて力は落ちているものの、私自身が攻撃されたことは記憶に残る程度です。
何かの行為を止めようとして殴られており、せん妄や興奮状態で意思疎通が難しい状態でした。考えてみると、すべて判断能力があったと考えられます。
私自身はそこまで被害はないものの、女性、病棟では看護師さんが攻撃対象になることもあります。夜勤では体制が薄くなるのでリスクはそれだけ上がります。女性や自分より弱そうな人を選んでいるのは意識して・もしくは無意識(本能)で相手を選んでいるということになるでしょう。
飲酒で酩酊状態で暴力やトラブルに巻き込まれた場合でも、相手と何か関係があったか、事前のやり取りを周囲から聴取の上で判断能力があったか検討されます。酒の力で事件を起こした場合、事件のもともとの人間関係みると判断能力や少なくとも責任は問われることになります。
男女平等といえども、危険行為が予測される現場に立ち入るのは女性にはさせたくないものの、自分もケガのリスクがあるためタダ働きは割に合わないです。これらの危険手当を診療報酬か国で補助してもらえる制度は少なくともほしいものです。
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