五月病とは医師があまり関与しなくていいのではないか…という気もしますが、長期化することで引きこもりや士気低下につながるため、なるべく早めに周囲は対応したいものです。
疾病分類
五月病はICDやDSMなどの疾病分類には載っていませんが、疾病構造からは適応障害に該当します。ただし、この時期に生じるものが全て適応障害ではなく、薬物療法が必須の状態であるケースも少なくありません。連絡がつかない、時間をかけて解決するような状態でもない場合は、健康管理部門を早めに巻き込んで対応したほうがよいでしょう。
連休明けに増加する理由
連休明けに多くなるのは、連休により自身の冷却期間が入るためだと思います。
転職や就職、引っ越しなど、周囲の環境が変わることに自身も頑張って慣れようとします。慣れようと無理に背伸びをしてしまうと、背伸びの結果疲弊してしまい、燃え尽きで連休明けに突入します。大学デビューは昔の言葉かもしれませんが、あれも無理して背伸びした結果、自分には合わないと悟るとテンションが下がり本来の自分の姿で過ごすことになります。テンションが落ちてもそれが本来の自身の姿なのです。
過剰適応が主な原因と考えれば、四月のうちに哲学や生き方、健康管理部門でのセルフケア指導などが対策になると考えられます。
症状
症状は適応障害のため、以下のような状態を呈します。
精神症状;抑うつ状態、不眠、強度の不安、食思不振、倦怠感など
身体症状;頭痛、腹痛、手の振るえ、しびれ、腰痛など
上記の症状のほか、行動の変化も生じます。
行動の変化;電話に対する極度の不安、電車に乗れない、外出できない、飲酒量・タバコ本数の増加
会社では、突然来なくなった、連絡がないといったことで相談に上司が来る、といったケースが多いようです。五月病の動きをしていても、有給休暇が残っているのでそれを当てて、六月に相談に来るということもたまにありますが、周囲が早めに動くほうが対策は立てやすいことが多いので、早めに報告だけはしておくのが良いです。受ける側も真摯に対応していきます。
治療
本人の話を聞いた上でできることを考えることになりますが、生活変化のギャップを受け入れられるかがその後に影響する印象があります。四月の過ごし方を語ってもらい、それを踏まえて五月以降の軌道修正の方針を語ってもらう。周囲からはここまでのフィードバックを行い、それまでの頑張りをまずは受け入れます。そのうえで軌道修正を支持できれば支持し、これはやってほしいということがあればそれを伝えていく。仕事をやるうえで未知の部分が大きいため、業務の道筋を示して本人に過ごし方を考えてもらうのが理想です。難しい場合はヒントを与え軌道を作っていく。病態で考えるのではなく、その後の社会人としての過ごし方まで話ができれば、かなりの予防策になってきます。
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