発達障害と業務遂行の工夫

 発達障害では、と健康管理室に相談が来る機会が増えています。保健所などの相談機関でも増えている印象です。ではあるものの、受け皿はなかなか増えていない状況です。既存の医療機関では現在の患者さんの受け入れで精一杯で、新規に開業するクリニックが発達障害をうたっていても予約がすぐに埋まってしまうことや、個別対応に時間をとられてしまい発達障害を前面に出さない状況が生じています。

 医療機関の前の受け皿として保健所や企業健康管理室で相談が増えているため、治療や診断は行わないにしろ対応の工夫の手はなるべく多く抱えられるようにしています。

企業でよく来る相談は

 「私は発達障害ではないでしょうか」

 この文脈が来る前に「〇〇をやってしまった。失敗した」と発達障害と考えるきっかけがあります。ミスの内容が過度の集中によるものか、スケジュールの調整ミスなのか、コミュニケーションの齟齬や解釈の問題なのか、ただの業務過多によるものかなど、失敗の経緯を責めることなく聞いていきます。既存の精神保健関連の相談で対案を出せるものなのか、検査まで行うほうがよいのかなどを大まかにふるいにかけていきます。アルコールやギャンブルなどの問題があれば、そこについても指摘を行います。

 治療によるメリットが大きいと思われるケース、日常生活の工夫についての支援や関わりが必要なケース、検査までやってみたいケースでは専門外来への紹介を検討します。

どの時点で開示するか

 仕事を干される、上司から追い詰められるのではという心配をしているケースが多く、実際に上司に相談しても

 「で、どうしてほしいの?」

 という回答をされてしまい、その後の言葉に詰まってしまうこともあるようです。

 業務効率を上げるために会社側に支援してほしいことを整理したうえで上司に相談を持ち掛けるのが無難です。発達障害だから〇〇はやらなくていい、という要望だと、同じ職場からの理解を得にくいです。〇〇を行うために、□□を上司にお願いしたいという話の持ち掛け方だと受け入れられることが多いです。

チェック体制を作る

 一人で任せていると資料が明後日の方向に行ってしまう、もしくは全く完成しないといったトラブルが生じることがあります。また、営業の打ち合わせの予定時刻に別の予定をブッキングしてしまい、相手方に平謝りする人もいます。

 軌道に乗るまでは、業務遂行やスケジュール管理など、自分や上司が気にしている部分はチェックを受けながら進められるようにします。いつチェックを入れるか、指摘を受けて軌道修正する時間はどこかまでを打ち合わせし、チェックをすっぽかすことがないようにします。

 スケジュールは共有で見えるようにし、無理なスケジュールは組まないようにします。

 一人でやれる自信があっても、上司や周囲からはかなり心配されているケースも少なくありません。周囲の話を聞き入れ、仕事をしながら成長する姿勢で臨むようにしてください。

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