「脳外科医竹田くん」から学ぶ組織論

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 ネット上で「脳外科医竹田くん」というマンガが流行っているようです。

 実在に近いもののようで、未熟な技術は人を不幸にするということを考えさせられます。

 医師という立場からすると、謙虚な姿勢、常に学ぶ意欲など、人として何かが欠けていると人を殺めかねない、という気持ちで仕事に臨まなければと身が引き締まる思いです。

 人としても技術屋としても未熟な彼の問題ではあるものの、同じような医師を職場で迎え入れる可能性は常にあります。「竹田くん」自体はネットで検索すれば名前は出てきそうですが、似たような問題行動を起こす人はいるかもしれません。組織としてどう対処すればよいかを考えてみます。

即戦力なのか育成段階なのか

 彼を迎え入れるときに止血ができないことを以前の上司が語っていました。専門医は単独で対応ができるレベルと考えれば、命を救う基本手技ができていない段階で受け入れは難しいと判断せざるを得ません。育成のつもりで入れたのであれば、手技全体を試用期間中に見たうえで本採用を決める、といった2段階で進めるのがよさそうです。医師と他職に違いはなく、面倒くさい医師を入れるとチームの信頼関係が薄れ、マンガのような病院の信用問題につながります。エリアによっては医師確保が難しいエリアもあるものの、危険な医師を置いておくほうが地域医療崩壊につながります。

性善説というもの

 性善説は私も好きな言葉ですが、レッドカードの状態を見守ることではないです。どこかで本人が改心してくれると信じている、のはイエローカードまでです。誰が見ても明確な医療事故はレッドカードであり、手術に立たせない処置を行うのは当然です。どこかで甘やかす、逃げ口を作ると後から問題になります。「竹田くん」のように自分のやったことを上司に擦り付ける、告訴するなどはありえない、と考えてしまうものの、ここまでやることもゼロではありません。報告書のずさんさが悲劇を招くことや必要な会議をやっていないことなど、揚げ足をとられないように必要なことをやっておくのがよさそうです。

隠ぺいや逃げ切りを図らない

 研修施設認定を取り上げられるのは病院としては痛く、医師派遣や募集にも影響します。そのため事故隠ぺいを図ろうとするものの、隠し事、特に医療関係の隠し事は大体どこかでほじくり出されます。隠ぺいがばれたときのペナルティのほうが重いので、最初から誠意をもって正直な報告を出すことが、患者さんや社会に対してのできることなのでしょう。事故ゼロは難しいかもしれませんが、技術の向上などでできる限り減らせるよう病院全体で努めることが、病院の雰囲気改善にもつながると考えます。


 医師として使い物にならなかったら…という不安がこの1年特に増えた気がします。精神科は飽和状態・産業医も増えている、外科手技をこれから学びなおす力はなく、総合診療として知識全体を底上げしている最中です。

 自分が友人の医師から頼られる存在なのか。

 自問しながら今週も業務を行ってみます。

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